団塊「2025年問題」控え AI介護広がる 認知症患者の失踪防ぎ、転倒を早期発見
介護施設や病院を対象にした、先端ITを使って高齢者の失踪や転倒事故による重症化を防ぐサービスが拡大している。高齢者を多く預かる施設の安心・安全を担保するのが狙いだ。団塊の世代が後期高齢者の75歳以上となる「2025年問題」を間近に控え、企業の取り組みが高齢化社会を支える。
防犯カメラの製造や販売を行う「トリニティー」(名古屋市中区)は、介護施設から認知症を患った入居者らの失踪を防ぐシステムを開発した。施設の玄関付近に防犯カメラを設置し、外出しようとする人の顔と、事前に登録したデータベースの個人情報を人工知能(AI)で照合する。合致すると施設職員のLINEグループに写真と氏名をいち早く通知する仕組みだ。
警察庁によると、21年に認知症やその疑いで行方不明となり警察に届け出があったのは1万7636人で、統計を取り始めた12年以降、最多となった。このうち、236人は21年中に所在を確認できなかったという。高齢化社会の進行で認知症による行方不明者は増加が続く傾向にある。
公益社団法人全日本病院協会の調べでは、調査に参加した国内18病院で3年度に起きた入院患者の転倒・転落事故は、1ヶ月あたり290件。高齢者の転倒は重大な障害につながるリスクが高く、早期の対応が必要となる。カメラの設置は患者に不快感を与える恐れもあるが、センサーを用いることで患者のプライバシーへの配慮にもつながる。富士通は技術的な課題を解決し、23年度中のサービス化を目指す。
高齢者の転倒事故や転倒してしまうケースが非常に多く、未然に転倒を防げなかった場合に、最新システムを用いて対策をすぐに行える画期的なシステムが全国の介護施設で広がれば、転倒などでけがや死亡してしまうリスクを最小限に抑えることができると思った。