浴場での転倒事故で過失問われる 争点は施設の安全配慮義務、1審は原告の請求棄却
事故に遭った利用者(原告)は当時85歳の女性。2014年5月、女性は問題の施設を訪れ、脱衣所から浴場に向かった。通路は2枚のスライドドアで脱衣所と浴場を隔てており、女性はまず脱衣所側のドアを開けて通路に進み、さらに浴場側のドアを開けて浴場に足を踏み入れた。
通路と浴場の境界には約8cmの段差があった。女性はここでタイルに足を滑らせて転倒してしまい、けがを負ってしまった。通路にはバスマットが敷かれていたものの、浴場へ踏み込む位置にはゴムマットを敷く、床面のタイルに滑り止め処理を施すといった措置は取られていなかった。
転倒でけがを負った女性は、「施設側には安全配慮義務を怠ったという過失がある」と主張、施設運営者を相手取り、損害賠償を求めて旭川地方裁判所へ提訴した。
請求額は合計で823万円。治療や通院にかかった費用として約17万円を計上した以外に、休業損害、入通院慰謝料、逸失利益、後遺症慰謝料などが加わっていた。施設側は過失を認めず、全面的に争った。
通路と浴場の境界に段差があったと書かれていたが、段差注意などの注意喚起はされていなかったのか。また、浴場という滑りやすくなることが考えられる場所でなぜ床面に滑り止め処理や対策が行われていなかったのか。安全管理が行き届いていないことが考えられる。
いち早く滑り止めの措置や注意喚起、安全確認などの転倒対策を一から変える必要があると感じた。