買物客の転倒事故と運営会社の不法行為責任

2022.12.5

買物客の転倒事故と運営会社の不法行為責任

転倒事故:ショッピングセンターに約860万円の支払いを命令

ショッピングセンターの買物客が、店内に落ちていたアイスクリームに足を滑らせて転倒し後遺症が残る障害を負ったとして、ショッピングセンターの運営会社に対し、不法行為に基づく損害賠償等を請求した。

裁判所は、運営会社の安全管理上の義務違反を認め、損害賠償請求を一部認容した。(岡山地裁平成25年3月14日判決)

原告:X(消費者)

被告:Y(ショッピングセンター)

2009年10月31日午後8時19分頃、Yの運営するショッピングセンター(以下、本件店舗という)の1階アイスクリーム売場(以下、本件売場という)前通路において、X(当時71歳、女性)が買い物袋を乗せた大型のショッピングカートを押して歩行中、アイスクリームが床に落ちてそのまま放置されていたため、これに左足を滑らせ転倒した。

事故当日は、本件売場において一部のアイスクリームが値引販売されていた。また、同日はハロウィーンでもあったことから、多数の客が集まり、事故当時も約20名の客が行列をつくっていた。Xが事故当時履いていた靴は、特に滑りやすい状態にあったわけではなかった。また、本件売場は、本件店舗の1階中央付近に位置し、中央出入口と生鮮食料品売場とを結ぶ主要な通路沿いにあった。Xは、本件転倒事故により右大腿骨顆上(みぎだいたいこつかじょう)骨折および第二腰椎圧迫骨折の傷害を負い、複数の病院等で92日の入院治療、85日の通院治療を受けた。Xの症状は、一下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残して固定した。

Xは、Yに対し、店舗の安全管理を怠ったことについて民放709条の不法行為責任をまた、床が滑りやすい状態にあるのに、これを放置したことにつき土地工作物責任(民法717条1項)に基づいて損害賠償を請求した。

これに対しYは、自らに責任がないと主張、仮に責任があるとしてもXには少なくとも9割の過失相殺がされるべきである等と主張した。

ショッピングセンターで落ちていたアイスクリームで足を滑らせて転倒し、怪我を負ったとして、女性(75)が約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁は14日、店を運営するショッピングセンターに約860万円の支払いを命じた。

なぜ、アイスクリームが落ちていることに気がつかなかったのか。ハロウィーンで多数の客が集まることをなぜ想定しなかったのか。安全管理や床の清掃が徹底的に行われていれば、今回の転倒は起こらなかったのではないか。転倒に対する認識や意識の甘さが今回の転倒事故に繋がってしまったのではないかと思われる。どのように対策をすれば転倒事故を防止できるか再度確認し、安全管理や床の清掃を見直す必要があると感じた。

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