油断できない「自宅で転倒」 高齢者の119番に医師らは身構える
新型コロナウイルスの感染拡大下で救急医療の搬送困難例が相次ぐなか、自宅など屋内で転倒し、救急搬送を求める高齢者が目立っている。筋力が衰えてくる高齢者はちょっとしたケガでも日常生活に戻るまでに時間がかかり、時には致命傷になることもあり、医療関係者は注意を呼びかけている。
総務省消防庁のまとめによると、今年1月9日〜15日の1週間に全国の主な52消防の救急搬送困難事案は8161件あり、4週連続で過去最多を更新した。今後、大雪や寒波の到来があれば、凍結した路面で転倒するなどして救急搬送の増加が予想される。
ただ、高齢者は外出時だけではなく、屋内での転倒にも注意が必要だ。
医療関係者によると、日常生活のなかで転んで救急搬送される高齢者が後を絶たないという。
東京消防庁の2018年の分析をみると、日常生活の事故(交通事故を除く)で1年間に救急搬送された約14万4千人のうち、半数以上が65歳以上の高齢者だ。搬送理由では、全ての年代で「転ぶ」(56・3%)が「落ちる」(11・1%)、「ぶつかる」(5・2%)、「(のどに)ものが詰まる」(2・4%)、「切る」(2・4%)を抑えて圧倒的に多かった。
さらに、高齢者の「転ぶ」に着目すると、60代が74%、70代が79・4%、80代で85・7%と、年齢が上がるとともに比率が高まっていく。
自宅の中にも階段や玄関や部屋の部屋の間にある段差、風呂場にも段差が数多く存在し屋外よりも段差に対する注意力が欠けてしまい段差などに躓いて転倒してしまうのではないかと思われる。段差を埋めるためのマットを引いたり、スロープを設置してみたりと自宅の中で可能な対策を模索する必要があると感じる。