事故概要
宿泊客が豪雨による浸水後、泥水に足をとられて旅館内の便所で転倒して負傷した。
事案の概要
旅館の駐車場に顧客の自動車を注射させていたところ、前面の丘陵が豪雨により崩落し、自動車が土砂をかぶって被害を受けたことから、顧客が旅館経営者に対し、場屋営業者の寄託責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
また、同時に、顧客が豪雨による浸水後、泥水に足をとられて旅館内の便所で転倒して負傷した場合について、旅館の安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求した。
判例の詳細
泥水が浸水した後の本件便所の清掃管理につき、同所を利用しようとする者がすべって転倒することがないよう十分に清掃して泥水を除去し、又はこれが不十分な場合には当該場所に立ち入ってはならない旨の表示をすべき信義則上の安全義務を負っていたというべきところ、それにもかかわらず、これを尽くさなかった結果、本件転倒事故を発生させた。
泥水が浸水して滑りやすい状態と考えることができる中で、念入りに清掃管理や安全配慮を行っていれば、本件のような転倒事故は防げたのではないかと考えられる。転倒事故のリスクなどを考え、今までの転倒防止の対策や安全配慮、清掃管理などを一から見直しが必要だと思う。